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環境包装設計事例の紹介と解説

該当項目 段ボール設計時の注意点

今月は、表題のように段ボールを設計・提案する上で注意したい点を解説したいと思います。
これから述べることは、最近私が実際に遭遇(?)した経験に基づくものです。
これまで、さまざまな設計事例を環境に良いまたは、配慮したものとして紹介してきました。今月はその前段階になるかとは思いますが、せっかく納めた段ボールが無駄にならないよう(無駄=環境にとっても”悪い”もの)注意したいところです。

大型段ボールの接合部分の選択について

これまで、一般的にA1式ケースの接合方法は糊貼りのほうが強いとされてきました。
実際、当設計室において実施しました試験でもそのような結果がでています。(下参照下さい)

※H18年3月30日に実施した試験結果

試料A:ステッチ止め
  最大荷重(kgf) 歪み量(mm) 備考
1 478 16.0 外側挫屈
2 478 15.5
3 487 15.0
平均 481.0 15.5  
試料B:のり貼り
  最大荷重(kgf) 歪み量(mm) 備考
1 516 14.5 外側挫屈
2 507 14.0
3 506 15.5
平均 509.7 14.7  
 
写真 試料写真

同じ内寸、同じ材質、どちらもサンプルカッターにて作成、その後24時間調湿を行い、試験したもの。糊貼りの箱のほうが6%ではあるが圧縮強度が強い結果となったもの。しかし、最近あるお客様より次のようなご指摘があり、次回納入分からステッチ止めに変更になった事例がありました。

図 荷役中に起きた不具合

その不具合とは左図のようなもので、荷役中に起きたものでした。
荷役中、同じ箱をその重量からフォークリフトを使用し箱を倉庫に並べていきます。その際、箱の接合部分に次の箱がぶつかると、糊貼りの場合表面の紙しか接合されていないため、紙自体が剥がれてしまうことが想定されるというものでした。なるほど、ステッチ止めの場合、段ボール同士をステッチの針でくわえ込み止めるので、このような場合は強いことが想像できます。このお客様では、実際の問題には至らず、問題前に変更、対応できました。しかし、「糊貼りのほうが接合強度が強い」と思い込むことで他のお客様に対しても今後も同じような提案をしないよう注意しなければと思うにいたりました。

ここで注意するのは、今述べた強度は違うものであり、それらを混同しないで理解・提案できる必要があることです。糊貼りの箱のほうが圧縮強度は強いのが間違いではないということです。左図のように、糊貼りは段ボールの表面の紙と裏の紙がその表面が糊で貼り付けられただけのため、剥がれに関しては弱いと想定されるということです。

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